全身編集者を読んで
胸をナイフで刺したくなる。胸が苦しくなって空っぽになってしんどいからそこを切り取って楽になりたいと思ってしまった。スッと出てきた本音。自害行為をしたいと言う意味ではないよ。
先程"全身編集者"と言う本を読み終えた。
https://vvolfbooks.booth.pm/items/1316273
ブースで買えるよ。
ガロと言う雑誌の服編集長だった白取千夏雄さんの半生が綴られている本。
前半はわくわくしながら血気盛んに青林堂で働く白取さんのエピソードはとても楽しく読んだ。
日本がバリバリ働くのが生きがいみたいな熱狂的に働いていた時代だったのかなと感じた。今ではブラック企業、サービス残業だ!と言われてしまうような労働環境だろうけど面白いものを作りたい、そんな強い生命力を仕事に捧げる姿はとても面白かった。
後半は涙腺から滝!のように涙が止まらず、読むのを躊躇ってしまう。元気で静かな昨日の夜から読み始めて今朝の明け方読み終えた。
白取さんの妻、やまだ紫先生との京都での生活。お互い闘病をしていたからこそふたりの愛情と絆が良く感じられてそれが12章のイラストで微笑みが出るほど美しいものだった。
突然無くなる日常の悲しみは呼吸が出来ないほどに涙が出てしまい、白取さんの綴るその心情が生々しくて自分に起こったような事と錯覚してしまうほど胸が痛くなった。
そこから全身編集者を編集、出版した劇画狼さんとの出会い。新しいものが生まれ生きていく循環がとても素敵だった。大の大人がめキャッキャウフフなんて可愛すぎる。
久しぶりにこんなに感情を揺さぶられて引きずる本を読んだ。私はガロと言う雑誌をよく知らなかったけども白取さんの一生懸命愛情深く生きた様子は物凄くドラマチックで綺麗だった。いい本に出会えたのは2019年上期の幸せな出来事として私の思い出に残しておく。